2011年12月21日水曜日

フランス最高裁判所と欧州司法裁判所、フランス国内でのGMトウモロコシ栽培禁止は、違法であると確認

【記事要約】
2008年に国内での遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ(MON810)の栽培を禁止したフランス政府の措置に関して、これを違法と判断した欧州司法裁判所を、フランス最高裁判所が支持すると発表しました。欧州司法裁判所とフランス最高裁判所は共に、フランス政府がGM作物による人体、環境に対するリスクに関し何ら科学的な根拠を示していない事を指摘した上で、栽培禁止措置は不当として、栽培禁止を覆す判断を出しました。
欧州委員会共同研究センター(JRC)の調査結果によると、(訳註:2007年までフランス国内で栽培され、2008年に禁止された)トウモロコシ品種は、害虫の発生が多い、フランスに隣接するスペインのサラゴサ州において、収穫量を平均で11.8%増加させ、農薬散布にかかるコストをヘクタールあたり20.04ユーロ(1ユーロ105円として2,100円)削減するなど、農業生産者の所得を1ヘクタール当たり122ユーロ(約12,800円)増加させました。この結果に基づき試算すると、2008年以降4年間に及ぶフランス政府の違法な栽培禁止措置により、フランスの農業生産者は4,000万ユーロ(約42億円)の潜在的な所得を失い、37万トン以上のトウモロコシ生産量が失われた事になります。
革新的農業技術の利用を禁止する事は、病害虫による収量のロス、公共、民間分野における研究開発への投資抑制など、社会的なコストを伴います。
(1) Joint Research Centre of the European Commission (2008). "Adoption and performance of the first GM crop introduced in EU agriculture: Bt maize in Spain.” Also published in Nature Biotechnology, April 2008.
http://ftp.jrc.es/EURdoc/JRC37046.pdf 
2011年11月28日/SEED QUEST
Highest courts in France and EU confirm France’s ban on GM crops is illegal
http://www.seedquest.com/news.php?type=news&id_article=22629&id_region=&id_category=1&id_crop