2013年3月7日木曜日

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物の栽培の動向(第8回 中国)

中国では1986年から遺伝子組み換え作物の研究が始まり、遺伝子組換え作物の研究開発を 積極的に推進してきました。現在商業栽培が許可されている遺伝子組み換え作物は、綿花、 パパイヤ、トマト、ポプラ、ピーマン、ペチュニアなどです。(3) 

◇ 2012年 中国国内の遺伝子組み換え作物状況(1) 


・パパイヤ(ウィルス抵抗性): 

2007年から商業栽培されており、現在99%が遺伝子組み 換えパパイヤとなっています。栽培面積は、2010年から15%増加して現在5,300ヘクタール です。

 ・Btワタ(害虫抵抗性): 

1997年から最も栽培されている遺伝子組み換え作物です。その 面積はインド、アメリカに次いで世界第3位、また2011年にはBtワタの導入率は71.5%と、 過去最高を記録しました。増加傾向の背景には、導入後殺虫剤の約 80%、金額にして 1 ヘクタール当たり年間 1,200~1,500 元(1元15円として約18,000円~22,500円)が節約で きるようになった、という収益増加があります。その結果農家の間での需要が高まり、19 99 年頃から大規模に栽培され始めました。 

・Btイネ(害虫抵抗性): 

現在、開発中です。世界一の米生産国で1億7,800万トンを生産、 今後の人口増加ににともない2030年までに2億3,500万トンの需要が見込まれているため、 商品化が急務とされています。

 <補足>

 中国における農業の特徴は、700 万人の小規模農業生産者(農地面積平均 0.5ヘクター ル)を中心とする成長率の大きさで、2000年50万ヘクタールだった遺伝子組み換え作物栽 培面積は、現在約8倍の390万ヘクタールに至っています。また、アメリカ、アルゼンチン、 カナダ、オーストラリア、メキシコと並んで、遺伝子組み換え技術の「創始国」と呼ばれ ており、遺伝子組み換え作物の技術力は、研究開発や圃場試験の段階において世界をリー ドする水準にあります。

 参考文献:
(1)ISAAA Briefs, No.43 p.95-96 (2012)
(2)農林水産省「中国における遺伝子組換え作物の導入と今後の見通し」(PDF)
(3)中国農業科学院植物保護研究所「中国農業遊学情報システム」(2010/09)