2012年11月7日水曜日

モンサント・ビーチェル‐ボーローグ国際奨学金プログラム、2013年度募集開始のお知らせ

モンサント・カンパニーでは、「持続可能な農業(Sustainable Agriculture)」の取り組みの一環として、イネやコムギ育種を志す学生を対象にした奨学金制度を創設しています。この奨学金はイネ育種、小麦育種分野において博士号取得を目指す学生が対象で、1940~60年代に世界の穀物生産を倍増させた「緑の革命」の生みの親として著名な、イネ、小麦育種家のヘンリー・ビーチェル博士、ノーマン・ボーローグ博士に敬意を表して創設されました。

モンサント・ビーチェル‐ボーローグ国際奨学金プログラムは、以下の2点を目標としています。

  1. 農業分野における将来の指導者として力を発揮できる、優れたイネ、小麦育種家の育成支援
  2. 特に発展途上国において公的研究機関が行っている重要なプロジェクト、ミッションを経験する機会を、若手研究者へ提供すること

2013年度の奨学金を希望する方の応募は、2012年11月1日から2013年2月1日まで受け付けています。以下で募集要項(日本語)をご覧いただけますので、関心のある方はぜひご一読下さい。

モンサント・ビーチェル ‐ ボーローグ国際奨学金プログラム (日本語ページ)
http://www.monsanto.co.jp/responsibility/sustainable-ag/mbbisp-program/

モンサント・カンパニーと遺伝子組み換え作物について「よくある質問QA」

モンサント・カンパニーや遺伝子組み換え作物について、よくあるご質問、また報道やインターネット上などで誤解に基づく情報が多いものについて、分かりやすく解説する新コーナー「よくある質問QA」を開設し、ご好評をいただいております。遺伝子組み換え技術の基礎知識、安全性、メリット、利用・普及状況、モンサントのビジネスなどについて、項目別にコンパクトにまとまった解説がご覧いただけます。ぜひご利用ください。

【例】
- 遺伝子組み換えを使っていると表示された食品を見たことがないのはなぜですか?
- 「遺伝子組み換えではありません」と表示しているのは、危ないからですか?


こちらからご覧いただけます。
http://www.monsanto.co.jp/question/

オーストラリア:偶発的に見付かった遺伝子組み換え小麦、従来品種に比べ収量が30%増

【記事要約】
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究者は、小麦のデンプン特性の向上を目的とした研究の中で実施した温室試験において、対象品種に比べて面積あたり収量(単収)が30%多い遺伝子組み換え小麦系統を観察しました。CSIROのBruce Lee 博士はプレスリリースで「圃場試験で十分な収量増を達成できれば、このことは世界規模での食糧生産に大きなインパクトを与えるだろう」と述べています。

2012年10月5日 / The Western Producer
Accidental GM wheat surprises with 30 percent yield hike
http://www.producer.com/2012/10/accidental-gm-wheat-surprises-with-30-percent-yield-hike/

ヨーロッパ連合(EU):スペインのカタロニア州では、遺伝子組み換えトウモロコシ導入率が米国の農家を超える

【記事要約】
今年スペインでは、過去最大となる11万6,000ヘクタール(昨年対比19.5%増)の遺伝子組み換えトウモロコシが作付けされました。これはスペイン国内のトウモロコシ作付け面積の30%に相当します。特にカタロニア州では遺伝子組み換えトウモロコシが人気で、同州のトウモロコシ作付けの90%が遺伝子組み換え品種となっており、これは米国平均の88%(2012年)の数字を上回っています。
なお、ポルトガルにおける遺伝子組み換えトウモロコシの作付面積も前年比20%増加し、9,278ヘクタール(同国のトウモロコシ作付け面積の6.6%)となっています。

2012年10月9日 / Agrimoney.com
Catalan farmers keener on GM corn than US peers
http://www.agrimoney.com/news/catalan-farmers-keener-on-gm-corn-than-us-peers--5079.html

アフリカ、ガーナ:遺伝子組み換え作物の圃場試験が来年にも開始

【記事要約】
ガーナでは今年2月に遺伝子組み換え作物の輸入/研究に関する法律が国会を通過し、南アフリカ、ブルキナファソ、エジプト、ケニヤといった、既に遺伝子組み換え作物に関する法律が整備され、遺伝子組み換え作物を輸入したり、栽培しているアフリカ諸国の仲間入りをしました。これを受け同国内では遺伝子組み換えイネ(窒素有効利用、乾燥耐性)、ササゲ豆(害虫抵抗性)、サツマイモ(必須アミノ酸強化)の隔離圃場試験の申請が進められています。これら3作物の試験は技術諮問委員会(Technical Advisory Committee)における審査が終了したことから、試験認可の結論が近日中に出される予定です。

2012年10月24日 / fastmoving.co
Ghana to begin GMO testing
http://www.fastmoving.co.za/news/supplier-news-17/ghana-to-begin-gmo-testing-2318 

参考:グローバルニューズクリップ Vol.99 「ガーナ:バイオセーフティー法が成立」
http://monsanto-japan.blogspot.com/2012_02_24_archive.html

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物栽培の動向(第6回 インド(下))

前号では、インドでBtワタが普及した事により、ワタ生産量や単収、輸出量がどの様に変化したのかをご紹介しました。今回はBtワタの普及によりインドの農業生産者、農村経済にどの様なメリットがもたらされたのかをご紹介します。

ワタの単収増加による、農村における雇用創出

Btワタ導入後、単収が増加して収穫量が増えたため、収穫(筆者註:インドでは手作業による収穫が主流)や収穫後の調整(ゴミの除去等)の作業が増加しました。これにより、Btワタを導入した地域では農村に新たな雇用が生まれています。インドでは収穫、収穫後の調整は主に女性が活躍する作業であるため、Btワタ導入による雇用創出は女性 において特に顕著であり、インド全体では、Btワタ利用によって農村の女性雇用が4億2,400万日・人増加し、女性の雇用労働者の賃金単価は、1ヘクタール当たり55ドルから82ドルと55%増加したと報告されています(1)

ワタの栽培コスト、農家収益の変化

1ヘクタール当たりのワタの栽培コスト(収穫後の作業に必要な人件費を含む)、生産物売上高、純利益をBtワタ導入前、導入後で比較すると、栽培コストは導入前、導入後で67.68 %増加しました。これはBtワタを用いる事で収穫量が増加し、収穫等の作業に要する人件費が増えた事が影響しています(注)。しかし収穫物の売上高が94.06%増加したため、最終的な生産者の純利益は375 %増加しており、生産者はBt作物の利用によ って大きな収益増加を成し遂げています(2)。この純利益の増加は農場経営規模と相関関係がなく、小規模生産者/大規模生産者の両方にメリットをもたらしています (2)
(注)栽培コスト増加の内訳は、人件費(52.69 %)肥料費(10.84 %)種子代(9.61 %) 機械(8.86 %)となっています(2) 

農薬使用量の低減と、生産者の農薬中毒事故の減少

Btワタ導入後、ワタ主要害虫オオタバコガの被害が減少したため、ボールワーム防除剤の市場規模(金額ベース)は2004-2010年の間に85%減少しました(1)。また農薬使用 量、使用回数の減少により、生産者における農薬中毒事故が減少しました。Non-GM、Btワタそれぞれを栽培する生産者の報告では、1栽培シーズン平均の中毒事故の報告数は、Non-GMワタ生産者で平均1.6回、Btワタ栽培で0.19回です。Btワタの普及により最低でも年間240万回の中毒事故が未然に回避されていると報告されています(1)

Btワタを栽培した農家の意識調査

ワタ生産者からの聞取りを分析した結果、94 %の生産者がBtワタの単収が従来品種に比べて多いと回答し、87 %が収益も多いと回答しました。また全体のの76 %がBtワタ導入により農薬使用量を、71%が農薬購入費用を削減できたと回答しています(2)

Btワタ導入による収益増加分は、何に使われたか

Btワタ導入による収益増加の使い道を聞取り調査したところ、調査対象の85%が子供への教育投資、77 %が食生活の充実、75%が家族の健康に関する支出、70%がレクリエーションや社会活動に利用したと回答しています(2)


(1) ISAAA Briefs, No.43 p.51-87 (2012)
(2) STUDY ON SOCIO-ECONOMIC IMPACT ASSESSMENT OF BT COTTON IN INDIA http://farmersforum.in/policy/study-on-socio-economic-impact-assessment-of-bt-cotton-in-india/