2014年9月2日火曜日

バングラデシュ:商業栽培が始まった害虫抵抗性(Bt)ナスの状況

【要約】 バングラデシュにおいてナス(eggplant/aubergine)は重要な作物です。同国では150,000の極めて小規模な農業生産者が、毎年50,000ヘクタールでナスを栽培しています。同国のナスは、通常の農薬では効果的に防除できないナスノメイガ(FSB)の被害を常に受け、多くの場合で収穫ロスが発生していました。害虫が大量に発生した際には、生産者は農薬を場合によって1日おきに、収穫までに80回も散布せねばならず、これは生産者、消費者、環境にとって大きな問題をもたらしています。
2013年10月30日、バングラデシュ政府は歴史的な決断によって遺伝子組換えの害虫抵抗性(Bt)ナスの種子増殖と、初期的な商業栽培を認めました。2014年の春からはBtナスの栽培が始まり、4種類のBtナスの苗が州政府農業省から配布され、合計約2.6ヘクタールで栽培されています。2015年までには、害虫抵抗性を持つナス5品種が作られる予定です。またバングラデシュ政府は、今後5年以内に、国内の20地区にわたるナス栽培面積50,000ヘクタールのの40%にあたる20,000ヘクタールにBtナスを導入する予定です。
これまでに行われた試験結果では、Btナスの利用によって収量が30%増加し、殺虫剤散布回数が70-90%削減され、1ヘクタール当たり1,868ドル(約18万6,800円)の経済メリットが示されています。これは、国民一人当たり年間所得が700ドルに過ぎないバングラデシュにおいて、大きな金額です。Btナスの利用によって、バングラデシュのナス生産者150,000人には2億ドル(200億円)の経済メリットがもたらされ、消費者もまた、汚れが少なく、品質が良く、より手ごろな価格でナスを手に入れられるようになります。

ISAAA Brief vol.47-2014 Executive Summary
The Status of Commercialized Bt Brinjal in Bangladesh
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