2012年1月20日金曜日

モンサント・カンパニーの乾燥耐性トウモロコシ(MON 87460)、及び、低飽和脂肪酸、高オレイン酸ダイズ(MON 87705)の米国農務省(USDA)の認可について

モンサント・カンパニーが商品化を進めている乾燥耐性トウモロコシ(MON 87460)、および低飽和脂肪酸、高オレイン酸ダイズ(MON 87705)に関して、米国内での一般圃場栽培を認める認可が、米国農務省より出されました。今回のUSDAの認可により、これら作物の一定の管理の下での農業生産者の試験栽培や、播種用の種子生産が可能となります。
乾燥耐性トウモロコシ(MON 87460)はドイツに本社があるBASF社との共同開発商品であり、遺伝子組み換え技術を用いた初めての乾燥耐性作物です。乾燥状態が頻発する地域において、乾燥による収量減少のリスクを軽減する事が期待されています。
低飽和脂肪酸、高オレイン酸ダイズ(MON 87705)は、遺伝子組み換え技術によりダイズ油分のオレイン酸含有量を増加させ、飽和脂肪酸含有量を減少させたダイズ品種です。オレイン酸はオリーブ油・キャノーラ油などに多く含まれ、善玉コレステロールは減らさずに、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減少すると言われています。詳しくは以下のプレスリリース(英文)をご覧下さい。

USDA Deregulates Monsanto’s First-Generation Drought-Tolerant Trait for Corn
http://monsanto.mediaroom.com/usda-deregulates-drought-tolerant-corn 
Monsanto’s Vistive Gold Soybean Trait Receives USDA Deregulation 
http://monsanto.mediaroom.com/vistive-gold-usda-deregulation

第9回:水資源の有効利用に関する成果を生産者と共有する施設 “Monsanto Eater Utilization Learning Center ”

モンサント・カンパニーでは、乾燥耐性を持たせた遺伝子組み換え作物の研究開発だけでなく、作物栽培における水利用の向上を図り、農業生産者を支援する取り組みを行っています。今号では、この取り組みをご紹介します。(United in Growth P.15)
http://www.monsanto.com/SiteCollectionDocuments/2010-csr-report.pdf

モンサント・カンパニーは2009年、ネブラスカ州ゴーセンバーグに水資源利用研修センター(Water Utilization Learning Center)を開設しました。この施設は、弊社内に蓄積された専門知識、技術、研究成果を農業生産者と共有するために開設されました。600万ドル(1$=77円換算で4億6,200万円)を投じたこの施設は、農業分野における初めての水資源利用研究・学習の専門施設で、先端的な作物栽培手法や灌漑システムを展示できるように設計され、農業生産者との双方向コミュニケーションを可能とします。また展示内容は、新しい技術や農業手法の実践が、どれ位作物栽培の水資源利用効率を改善するかにフォーカスした内容となっています。さらに詳しくは、以下をご覧下さい。

日本モンサント株式会社ニュースリリース(日本語)
モンサント・カンパニー、農業分野初の水資源利用研修センターをオープン ー 農業生産者の生産性改善を支援する研究を重視 (2009年6月16日)
http://www.monsanto.co.jp/news/release/090706.html

水は、農業生産にとって非常に重要な資源です。水の利用効率を改善は、農業の生産性を改善すると同時に、持続可能な農業にとって不可欠であるとモンサント・カンパニーは考えます。

アルゼンチン:ArgenBio研究報告書「遺伝子組み換え作物を利用したアルゼンチン農業の15年 」概要

アルゼンチンの民間組織ArgenBioのEduardo J. Trigo 氏は、アルゼンチン国内で15年間遺伝子組み換え作物を商業利用した事による、同国の農業生産者、経済、雇用などへの影響や、今後の新しい遺伝子組み換え作物の利用によるメリットを算出した報告書を発表しました。同報告書の主な内容は以下の通りです(詳しい内容は、後日弊社HPに掲載いたします)


【記事要約】
・1996年に遺伝子組み換え作物がアルゼンチンに導入されました。現在、アルゼンチン国内で栽培されるダイズの100%、トウモロコシの86%、ワタの99%が遺伝子組み換え品種です。

・遺伝子組み換え作物の栽培による同国内での経済的ベネフィットの累計(1996-2010年)は723億ドル(約5兆5,600億円)であったと推定されます。

-このうち、除草剤耐性ダイズがもたらしたベネフィットは651億ドル(約5兆円)で、72.3%が農業生産者、21.3%が国家財政(輸出関税、税金等)6.5%が技術(種子、除草剤)の提供者へ還元されたと推定されます。

-遺伝子組み換えトウモロコシ(害虫抵抗性、除草剤耐性、それらの掛け合わせ品種合計)がもたらしたベネフィットは53億ドル(4,081億円)で、68.2%が農業生産者、11.4%が国家財政、20.4%が技術提供者へ還元されたと推定されます。

-遺伝子組み換えワタ(害虫抵抗性、除草剤耐性、それらの掛け合わせ品種合計)がもたらしたベネフィットは18億ドル(1,386億円)で、96%が農業生産者、4%が技術提供者へ還元されたと推定されます。

・アルゼンチンが遺伝子組み換えダイズを導入していなかったと仮定すると、2011年時点の大豆国際価格は、14%高いものになっていたと推定されます。

・遺伝子組み換え技術の利用によって、同国内で182万人の雇用が創出されたと推定されます。

・不耕起栽培の実施によって、土壌成分の保全、エネルギー効率改善が実現し、環境メリットが実現されました。

・除草剤耐性、害虫抵抗性のを併せ持つ(掛け合わせ)ダイズ品種が利用可能になった場合、今後10年間にもたらされるメリットは推定で91億~260億ドル(7,007億~2兆円)と推定されます。

・乾燥耐性のコムギが利用可能になった場合、今後10年間にもたらされるメリットは推定で5~19億ドル(385~1,463億円)と推定されます。

2011年11月/Argen Bio
ArgenBio プレスリリース(英文)
http://www.argenbio.org/adc/uploads/15_years_Press_release_of_GM_crops_in_Argentina.pdf
フルレポート(英文)
http://www.argenbio.org/adc/uploads/15_years_Executive_summary_of_GM_crops_in_Argentina.pdf

インド:Btワタの使用で農薬が減り反収は増加

【記事要約】
インドの農業担当国務大臣のHarish Rawat氏は、インドで害虫抵抗性(Bt)ワタを導入した事により、インドのワタ生産の単収が2001年の309kg/haから、2010年に495kg に増加したとインドの下院議会(Lok Sabha)で報告しています。同氏は、Btワタ導入の最大のメリットは、殺虫剤のコストの削減(ワタ生産費に占める殺虫剤コストの割合が2001年の46%から、2006年には26%、2009、2010年には21%へ減少)であると述べています。Btワタを栽培する事による農業生産者メリットは、収量の増加と農薬使用量の削減により、マハラシュトラ州では1ヘクタール当たり6,000~10,000ルピー(1ルピー=1.5円として9,000~15,000円)、パンジャブ、グジャラート、ハリアナ州では同12,000~14,000 ルピー(18,000~22,500円)と報告されています。
またRawat氏は、マハラシュトラ州ナグプールにあるインド中央綿花研究所が監修した調査結果を引用し、Btワタは害虫(オオタバコガ)の被害を防ぐ一方で、非標的昆虫や鳥類、魚類、牛、ヤギ、土壌微生物に対しては無害である事を、国会で報告しています。

2011年12月19日/JAGRAN POST
Bt cotton helped in reducing pesticide use, increasing yield
http://post.jagran.com/bt-cotton-helped-in-reducing-pesticide-use-increasing-yield-study-1324209704

食品の安全性や報道に関する、サイトのご紹介

今号では、「食のコミュニケーション円卓会議」をご紹介します。
「食のコミュニケーション円卓会議」は、主婦、研究者、企業人等が集い、食の問題について、円卓を囲むようなフラットな立場で、実りのあるコミュニケーション活動(学習会・意見交換など)を行い、得られた成果を、意見や提案、提言などの形で、広く人々へ繋ぐ活動を展開しています(同会HPより)。
「食のコミュニケーション円卓会議」では、最新の遺伝子組み換え作物の開発動向、食品への放射線照射など、食に関わる勉強会や公開講座を定期的に開催している他、パブリックコメントへの意見提出や意見表明などが活発に行われています。

食のコミュニケーション円卓会議HP
http://food-entaku.org/index.htm

次回の公開講座
2012年2月18日(土) 14::00~16:00
江東区古石場文化センター 第3研修室
テーマ:遺伝子組換え農作物や、スギ花粉症治療イネについて
http://food-entaku.org/kouza/food-entaku20120218.pdf