2012年11月7日水曜日

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物栽培の動向(第6回 インド(下))

前号では、インドでBtワタが普及した事により、ワタ生産量や単収、輸出量がどの様に変化したのかをご紹介しました。今回はBtワタの普及によりインドの農業生産者、農村経済にどの様なメリットがもたらされたのかをご紹介します。

ワタの単収増加による、農村における雇用創出

Btワタ導入後、単収が増加して収穫量が増えたため、収穫(筆者註:インドでは手作業による収穫が主流)や収穫後の調整(ゴミの除去等)の作業が増加しました。これにより、Btワタを導入した地域では農村に新たな雇用が生まれています。インドでは収穫、収穫後の調整は主に女性が活躍する作業であるため、Btワタ導入による雇用創出は女性 において特に顕著であり、インド全体では、Btワタ利用によって農村の女性雇用が4億2,400万日・人増加し、女性の雇用労働者の賃金単価は、1ヘクタール当たり55ドルから82ドルと55%増加したと報告されています(1)

ワタの栽培コスト、農家収益の変化

1ヘクタール当たりのワタの栽培コスト(収穫後の作業に必要な人件費を含む)、生産物売上高、純利益をBtワタ導入前、導入後で比較すると、栽培コストは導入前、導入後で67.68 %増加しました。これはBtワタを用いる事で収穫量が増加し、収穫等の作業に要する人件費が増えた事が影響しています(注)。しかし収穫物の売上高が94.06%増加したため、最終的な生産者の純利益は375 %増加しており、生産者はBt作物の利用によ って大きな収益増加を成し遂げています(2)。この純利益の増加は農場経営規模と相関関係がなく、小規模生産者/大規模生産者の両方にメリットをもたらしています (2)
(注)栽培コスト増加の内訳は、人件費(52.69 %)肥料費(10.84 %)種子代(9.61 %) 機械(8.86 %)となっています(2) 

農薬使用量の低減と、生産者の農薬中毒事故の減少

Btワタ導入後、ワタ主要害虫オオタバコガの被害が減少したため、ボールワーム防除剤の市場規模(金額ベース)は2004-2010年の間に85%減少しました(1)。また農薬使用 量、使用回数の減少により、生産者における農薬中毒事故が減少しました。Non-GM、Btワタそれぞれを栽培する生産者の報告では、1栽培シーズン平均の中毒事故の報告数は、Non-GMワタ生産者で平均1.6回、Btワタ栽培で0.19回です。Btワタの普及により最低でも年間240万回の中毒事故が未然に回避されていると報告されています(1)

Btワタを栽培した農家の意識調査

ワタ生産者からの聞取りを分析した結果、94 %の生産者がBtワタの単収が従来品種に比べて多いと回答し、87 %が収益も多いと回答しました。また全体のの76 %がBtワタ導入により農薬使用量を、71%が農薬購入費用を削減できたと回答しています(2)

Btワタ導入による収益増加分は、何に使われたか

Btワタ導入による収益増加の使い道を聞取り調査したところ、調査対象の85%が子供への教育投資、77 %が食生活の充実、75%が家族の健康に関する支出、70%がレクリエーションや社会活動に利用したと回答しています(2)


(1) ISAAA Briefs, No.43 p.51-87 (2012)
(2) STUDY ON SOCIO-ECONOMIC IMPACT ASSESSMENT OF BT COTTON IN INDIA http://farmersforum.in/policy/study-on-socio-economic-impact-assessment-of-bt-cotton-in-india/

2012年10月12日金曜日

モンサント・カンパニー、米国Forbes誌において「アメリカで最も革新的な企業 10社」に選ばれる

このたび、モンサント・カンパニーは米国Forbes誌において「アメリカで最も革新的な 企業10社」に選ばれました。

「アメリカの最も革新的な企業10社」:The Ten Most Innovative Company In America, 9. 05. 2012, Forbes
http://www.forbes.com/sites/samanthasharf/2012/09/05/the-ten-most-innovative-companies-in-america/

 Forbes誌は10社の選定にあたり、「アメリカでも最も革新的な企業は、多様性に富み、東 西を問わず米国各地から生まれ、オープンソースソフトウェアからヘルスケアに至るま で、様々な分野で業界をリードしています。これら革新的な企業に共通する点は、既に 出来上がった業界標準に満足することなく、進化を続けようと熱望している事にあります。これらの企業では、技術革新とは受動的なものでは決してありません」と述べてい ます。 

モンサント・カンパニーは上記の記事の中で、以下の様に紹介されています。

モンサント・カンパニー: 遺伝子組み換え大豆、綿、トウモロコシの種子を開発 米国ランク9位、世界ランク16位
12ヶ月の売上成長:18.6 %、5年間の総利回り:8.3 % http://www.forbes.com/pictures/ffgh45glm/9-monsanto/#gallerycontent

モンサント・カンパニー、2011年 企業の社会的責任(CSR)及びサステナビリティ レポートを発表

モンサント・カンパニーは、「2011年の企業の社会的責任(CSR)およびサステナビリティ報告書(Corporate Social Responsibility and Sustainability Report)」を発表しました。この報告書は、投入資源を削減しつつ、単位面積当たりの作物収量を増加 し、人々の生活を向上するため努力している世界中の小規模・大規模農業生産者のニー ズを支えるモンサント・カンパニーの取り組みの進捗状況、及び課題を詳しく記述したものです。具体的には、弊社のビジネス展開に加えて、2050年に人口が90億人へ増加す ると予測される中、世界の食糧需要を満たすために、農業生産上の問題解決に向けて弊社がパートナーとどのように協力しているかを重点的に取り上げています。

このCSR報告書のポイントは、弊社ホームページにて日本語訳をご覧いただけます。
http://www.monsanto.co.jp/news/release/120806.html
また、本報告書の全文またはその要約は以下からご覧いただけます。(英語) http://www.monsanto.com/sustainabilityreport

モンサント・カンパニーと遺伝子組み換え作物について「よくある質問QA」

モンサント・カンパニーや遺伝子組み換え作物について、よくあるご質問、また報道や インターネット上などで誤解に基づく情報が多いものについて、分かりやすく解説する 新コーナー「よくある質問QA」を開設し、ご好評をいただいております。遺伝子組み換 え技術の基礎知識、安全性、メリット、利用・普及状況、モンサントのビジネスなどに ついて、項目別にコンパクトにまとまった解説がご覧いただけます。ぜひご利用ください。 

【例】
 - 遺伝子組み換え技術と従来の品種改良は何が違うのですか?
 - 遺伝子組み換え作物は食べて安全ですか?
 - 将来どのような遺伝子組み換え作物が商品化される可能性がありますか?

こちらからご覧いただけます。
http://www.monsanto.co.jp/question/

スーダン:ブラジルと提携して遺伝子組み換えワタを導入

【記事要約】
スーダン農務省は、ブラジルとの提携によりスーダン国内へ遺伝子組み換えワタを導入 したことを発表しました。農務省の報告では、遺伝子組み換えワタの栽培は、特にラハド地方、スキ地方を中心に、複数の地域で成功しています。

2012年9月6日 / Fiber2fashion News Desk
Sudan introduces GM cotton in partnership with Brazil
http://www.fibre2fashion.com/news/textile-news/newsdetails.aspx?news_id=115435

ブラジル:2012-13年は、遺伝子組み換え種子の使用が12%増加

【記事要約】
ブラジルの農業コンサルタントCeleres社の調査によると、2012-13作物栽培年度におけ るブラジル国内の遺伝子組み換え作物の総作付面積は、前年度より12.1%増加して9,040 万エーカー(約3,600万ヘクタール)になる見込みです。そのうち遺伝子組み換え大豆 の作付け面積は、前年度より11.7%増加して5,900万エーカー(約2,390万ヘクタール) で、ブラジル国内で栽培される大豆の88.1%を占める見通しです。遺伝子組み換えトウ モロコシの作付面積は前年度より13.1%増加して2,990万エーカー(1,200万ヘクタール )と、ブラジル国内で栽培されるトウモロコシの74%を占める見通しです。

2012年8月7日 / The Progressive Farmer Brazil GMO Use to Grow 12% in 2012-13 Season http://www.dtnprogressivefarmer.com/dtnag/common/link.do?symbolicName=/ag/blogs/template1&blogHandle=southamerica&blogEntryId=8a82c0bc38fe7cec013901b6501b0024

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物栽培の動向 第5回:インド (上)

Btワタが導入された2002年以前のインドでは、高い作物栽培コスト(特に高価な殺虫剤 の購入コスト)と作物生産性の低さから、灌漑設備が整っていない地域を中心に多くの 生産者がワタの栽培意欲を失い、ワタ栽培を縮小したり、離農する状況が続いていまし た。それが2002年のBtワタ導入以降、生産者は次第にワタ栽培へ回帰し、2002‐2011の 10年間にインドのワタ栽培は急回復、急成長を成し遂げました。今回と次回では、Btワ タの導入以降インドのワタ栽培がどの様に変化したのか(今回)、Btワタの導入が生産 者や農村経済に、どの様なメリットをもたらしたのか(次回)を紹介します。

  • インドのワタ栽培総面積の推移とBtワタの普及
    • インド国内のワタ総栽培面積は、2002年の約760万ヘクタールから2011年には約1,210万 ヘクタールへと倍増しました。その中でもBtワタの栽培面積は2002年の5万ヘクタール から2011年には1,060万ヘクタールへと急拡大し、2011年時点でインド国内のワタ栽培の 88%がBtワタとなっています。またBtワタを利用する生産者数も、2002年の5万人から201 1年には約700万人へと急増しました。
  • Btワタ導入後の、ワタ総生産量の変化
    • インド国内のワタ総生産量は、2001年の1,580万ベール(1ベール=約170kg)から、201 1年には3,120万ベールへと倍増しています。なお2012年には3,550万ベールと過去最高 を更新する見込みです。 
  • Btワタ導入後の、ワタ単収の変化
    • インド国内のワタ単収は2001年の308 kg/ヘクタールから2007-08年の567 kg/ヘクター ルまで増加しました。2008年以降は、ワタ栽培限界地域(降雨量が少ない等、収量の低 い地域)での栽培が増加したにも関らず、全体として約500 kg/ヘクタールの収量を維 持しています。2012年の収量平均は499kg /ヘクタールと見通されています。
  • Btワタ導入後のインドのワタ輸出量の変化
    • インドは、Btワタの導入によって生産量を飛躍的に増加させたことから、この10年間で ワタの純輸入国から純輸出国へと転じました。インドのワタ輸出量は2001年の5万ベー ルに対し、2011年には約550万ベールと100倍以上に増加しています。
 Btワタはこの10年の間に国内へと普及し、インドのワタ生産や輸出を一変させました。 Btワタが普及したのには、何より生産者にメリットがあり、彼らの支持を得られたから に他なりません。次回はBtワタが生産者や農村経済にもたらしたメリットを紹介し、Bt ワタが普及した理由をご説明します。

(参考文献) ISAAA Briefs, pp.51-87 (2012)

2012年9月7日金曜日

モンサント・カンパニー、2011年 企業の社会的責任(CSR)及びサステナビリティレポートを発表

モンサント・カンパニーは、「2011年の企業の社会的責任(CSR)およびサステナビリティ報告書(Corporate Social Responsibility and Sustainability Report)」を発表しました。この報告書は、投入資源を削減しつつ、単位面積当たりの作物収量を増加し、人々の生活を向上するため努力している世界中の小規模・大規模農業生産者のニーズを支えるモンサント・カンパニーの取り組みの進捗状況、及び課題を詳しく記述したものです。具体的には、弊社のビジネス展開に加えて、2050年に人口が90億人へ増加すると予測される中、世界の食糧需要を満たすために、農業生産上の問題解決に向けて弊社がパートナーとどのように協力しているかを重点的に取り上げています。

このCSR報告書のサマリーは、弊社ホームページにて日本語訳をご覧いただけます。 http://www.monsanto.co.jp/news/release/120806.html

また、本報告書の全文またはその要約は以下からご覧いただけます。(英語) http://www.monsanto.com/sustainabilityreport

モンサント・カンパニーと遺伝子組み換え作物について「よくある質問QA」

 モンサント・カンパニーや遺伝子組み換え作物について、よくあるご質問、また報道やインターネット上などで誤解に基づく情報が多いものについて、分かりやすく解説する新コーナー「よくある質問QA」を開設し、ご好評をいただいております。遺伝子組み換え技術の基礎知識、安全性、メリット、利用・普及状況、モンサントのビジネスなどについて、項目別にコンパクトにまとまった解説がご覧いただけます。ぜひご利用ください。

【例】

  • 遺伝子組み換え作物は人工的な作物ではないのですか?
  • 日本での商業的栽培は禁止されているのですか? 
  • ターミネーター種子を販売しているのですか? 


こちらからご覧いただけます。
http://www.monsanto.co.jp/question/

国連・OECD:収量増加率の低下に対処するため、遺伝子組み換え作物を支持

【記事要約】
世界の農業生産の伸び率は、ここ数十年のあいだ年率2%で推移してきましたが、利用できる肥料、水、農地などの制約が増大しているため、次の十年には伸び率が1.7%に低下する見込みです。国連(UN)と経済協力開発機構(OECD)は、減速傾向にある収量の増加率を上げる手段として遺伝子組み換え技術を利用することを支持する共同声明を発表しました。この声明では、最近、最も急速に普及した農業技術である遺伝子組み換え技術を採用する農業生産者が、持続可能な農業生産性向上を実現するであろうと述べています。 また、遺伝子組み換え作物のメリットとして、投入資源(訳注:水、肥料など)の削減、収量と作物生産の改善などに寄与する事で「農業生産者の支出を抑制し、収入を増加」できるとした上で、「ビタミン含有強化など消費者に直接メリットのある次世代遺伝子組み換え作物も期待される」と述べています。

2012年7月11日 / Agrimoney
UN, OECD back GM crops, to counter yield slowdown
http://www.agrimoney.com/news/un-oecd-back-gm-crops-to-counter-yield-slowdown--4741.html 

OECD-FAO 共同声明原文(英語)
OECD-FAO Agricultural Outlook 2012-2021 (上記新聞記事に該当する記述はP.76)
http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/agriculture-and-food/oecd-fao-agricultural-outlook-2012_agr_outlook-2012-en

英国:3分の2が遺伝子組み換え作物試験を「支持する」へ劇的な変化

【記事要約】
The Independent紙において公開された世論調査の結果、遺伝子組み換え作物の栽培試験に対して調査対象の3分の2が「支持する」と回答し、英国世論が肯定的な変化を示しました。農業生産者が農薬の使用量を削減できる可能性を持つ遺伝子組み換え作物の栽培試験を政府が推進するべきかどうかを調査したところ、64%が「賛成」、27%が「反対」、9%が「わからない」と回答しました。また、今回の調査結果では、性別によって回答に顕著な差があることがわかりました。男性よりも女性の方が栽培試験を警戒する傾向にあり、一方で男性は70%が「試験を推進するべきだ」と回答し、女性は58%にとどまりました。なお、世代や社会的立場、地域による差はほとんどありませんでした。

2012年7月25日 / The Independent (London)
Dramatic Change As Two-Thirds Now Support GM Crop Testing
http://www.independent.co.uk/news/uk/politics/dramatic-change-as-twothirds-now-support-gm-crop-testing-7973432.html

英国:遺伝子組み換え作物の長期的給餌試験の結果、悪影響はなし

【記事要約】
英国ノッティンガム大学が行なった長期(90日から2年間)の動物実験において、遺伝子組み換え作物を含む飼料は、遺伝子組み換え作物を含まない飼料と栄養学的に同等であり、実験動物に悪影響を与えないことを示しました。この研究では、遺伝子組み換え品種のトウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、コメ、ライ麦を飼料として用い、家畜の健康に関するデータを精査しています。

この報告書では、実施された24の動物実験すべてにおいて、実験動物への悪影響は確認されず、調査項目中に統計的な有意差はありませんでした。また、OECDのガイドラインに準じた90日の長期給餌試験は、遺伝子組み換え作物が飼料として動物に与える影響を評価するのに妥当であるとしています。

2012年7月19日 / The Poultry Site News
 No Long-Term Effects of Feeding GM Diets
http://www.thepoultrysite.com/poultrynews/26296/no-longterm-effects-of-feeding-gm-diets

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物栽培の動向 第四回:アルゼンチン (下)

前回に引き続き、アルゼンチンにおける遺伝子組み換え作物栽培の現状をお伝えします。今回は遺伝子組み換え作物の導入以来15年間(1996-2011年)でアルゼンチンが得た経済的ベネフィットについてご紹介します。

◇遺伝子組み換え作物の導入による経済的ベネフィット

遺伝子組み換え作物の導入以来15年間にアルゼンチンが得た経済的利益は723億USドル(1ドル=80円換算で5兆7,840億円)に達します(1)。その内訳は以下の通りです。
  • 遺伝子組み換え大豆(除草剤耐性):導入によってもたらされた経済的利益は、全体で651億USドル(5兆2,080億円)です。そのうち72.3%は農業生産者に、21.3%は課税として政府に、6.5%は農業技術(種子・除草剤)の提供者に還元されています。
  • 遺伝子組み換えトウモロコシ(害虫抵抗性・除草剤耐性の掛け合わせ品種):導入によってもたらされた経済的利益は、全体で53億USドル(4,240億円)です。そのうち68.2%は農業生産者に、11.4%は課税として政府に、20.4%は農業技術(主に種子)の提供者に還元されています。
  • 遺伝子組み換えワタ(害虫抵抗性・除草剤耐性の掛け合わせ品種):導入によってもたらされた経済的利益は、全体で18億USドル(1,440億円)です。そのうち96%は農業生産者に、4%は農業技術(種子・除草剤)の提供者に還元されています。
  • 上記の通り、アルゼンチンでは遺伝子組み換え作物導入から15年間で723億USドルの経済的利益が達成されました。その経済的利益の72.6%という大きな割合が農業生産者へ還元され、農業生産者の収益改善に大きく寄与している事が分かります。なお、国や技術提供者にも経済的利益が分配されていますが、技術提供者の経済的利益は小さいものでした。 

◇今後の遺伝子組み換え作物の栽培について

今後アルゼンチンでは、遺伝子組み換え大豆の掛け合わせ品種(害虫抵抗性+除草剤耐性)や、乾燥耐性小麦の利用を目指しています。それぞれの潜在的な利益をシミュレーションした結果、来季からこれらを利用できると仮定した場合で、次の十年の間に大豆は91億~260億USドル(7,280億~2兆800億円)の経済的利益、小麦は5.2億~19億USドル(416億~1,520億円)の経済的利益になることが試算されています(1)。


(1) ISAAA Briefs, pp.45-51 (2012)
(2) Trigo EJ. Fifteen Years of Genetically Modified Crops in Argentine Agriculture (2011)


 (次回は、インドにおける遺伝子組み換え作物栽培の動向について報告いたします。)

2012年8月3日金曜日

遺伝子組み換え作物見学会のお知らせ

日本モンサント株式会社では、7月下旬から8月下旬にかけて、毎年恒例の遺伝子組み換え作物の見学会を弊社研究農場(茨城県稲敷郡河内町)で実施いたします。

遺伝子組み換え作物は日本の食生活に欠かせないものになっていますが、日本国内での商業栽培は行われていないため、実際に栽培されている作物を見る機会はほとんどない状態です。

見学会では、世界各地で広く栽培され、国内でも安全性の認可を取得し、穀物として輸入・利用されている遺伝子組み換え大豆とトウモロコシが実際に栽培されている様子をご覧いただけます。この機会に是非、遺伝子組み換え作物の利点を目で見て、肌で感じていただければと思います。

お申込み方法、詳細は、弊社ホームページをご覧ください。
2012年度 遺伝子組み換え作物圃場見学会のご案内 http://www.monsanto.co.jp/biotech/info/experiment/120613.html

モンサント・カンパニーと遺伝子組み換え作物について「よくある質問QA」

 モンサント・カンパニーや遺伝子組み換え作物について、よくあるご質問、また報道やネット上などで誤解に基づく情報が多いものについて、分かりやすく解説する新コーナー「よくある質問QA」を開設し、ご好評をいただいております。遺伝子組み換え技術の基礎知識、安全性、メリット、利用・普及状況、モンサントのビジネスなどについて、項目別にコンパクトにまとまった解説がご覧いただけます。ぜひご利用ください。

【例】


 こちらからご覧いただけます。
よくある質問QA
http://www.monsanto.co.jp/question/

ニュースリリース USDA(米国農務省) 2012年の米国内農作物作付け状況に関する発表

USDAのリリース(2012年6月29日)から

USDAは6月29日、2012年の米国内農作物作付け状況およびトウモロコシ・大豆・ワタの遺伝子組み換え品種に関する作付け状況について発表を行いました。ワタでは遺伝子組み換え品種の割合が4%増加しました。また、トウモロコシ・ワタではスタック品種(掛け合わせ品種)の伸びが堅調です。

 ◇2012年 米国のトウモロコシ・大豆・ワタ作付け面積と遺伝子組み換え品種の割合

  • トウモロコシの作付け面積合計は、約3,901万ヘクタール (前年比5%増)

    そのうち遺伝子組み換え品種が占める割合は、88% (前年と変わらず)
  • 大豆の作付面積合計は、約3,080万ヘクタール (前年比1%減)

    そのうち遺伝子組み換え品種が占める割合は、93% (前年比 1%減)
  • ワタの作付け面積合計は、約510万ヘクタール (前年比12%減)

    そのうち遺伝子組み換え品種が占める割合は、94% (前年比 4%増)


 詳細は、弊社ホームページのニュースリリースをご覧ください。
http://www.monsanto.co.jp/news/release/120717.html  
USDAのレポート(英文)はこちらでご覧になれます。
http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1000

EU:食品原料における未承認GM作物の微量混入を容認へ

【記事要約】
欧州委員会は、輸入穀物に含まれる未承認GM作物について0.1%までの混入を容認する法案を年度末の成立を目指して提出する予定です。昨年、欧州委員会は飼料用途で輸入される穀物に限って、未承認GM作物原料の混入を0.1%まで容認する事を決定していましたが、今回の法案は食品用途の穀物にも適用するものです。欧州委員会は、世界的な穀物流通の中で、EUへ輸入されるすべての食料・飼料に対してGM作物の混入を防ぐことは非現実的であることを理由に挙げています。ドイツの農務大臣Ilse Aigner氏は、この法案について、「未承認GMOのゼロトレランス政策を撤廃する可能性のある法案には反対を表明する」と発言していますが、輸入業者や欧州の食品製造業者は、国際的な供給網の中でEUへの輸入穀物に未承認のGMOが含まれないことを保証することがますます困難になっているため、この規制緩和は輸入食品への混乱を避けるためには必要であると話しています。

 2012年6月11日 / Reuters
EU Plans To Let Traces Of Unapproved GMOs In Food
http://in.reuters.com/article/2012/06/11/eu-gmo-food-idINL5E8HB9Q320120611

中国:Btワタの利用が益虫の増加に貢献

【記事要約】
中国の研究で、Btワタの栽培が農薬使用量の削減につながり、さらに益虫の増加を促すことが科学誌「Nature」で報告されました。研究の結果、Cotton Bollworm殺虫剤の年間散布回数は最多で11回(1993年)でしたが、Btワタを導入することで3回(2010年)にまで削減できました。また、Btワタの栽培によって近隣のダイズ、落花生、とうもろこしの畑に生息する、アブラムシを捕食するクモやカゲロウの生存率が高まり、結果的に近隣の畑の害虫防除にも役立ったことが判明しました。これらの結果は、20年におよぶ調査によって明らかにされたものです。

2012年6月13日 / Business World
Gene-Modified Cotton Aids Pest-Killing Insects, China Study Says Bloomerg Businessweek
http://www.businessweek.com/news/2012-06-13/gene-modified-cotton-aids-pest-killing-insects-china-study-says
 (参考文献)
Yanhui L, Kongming W, Yuying J, Yuyuan G, and Nicolas D. Widespread adoption of Bt cotton and insecticide decrease promotes biocontrol services. Nature (2012) http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature11153.html?WT.ec_id=NATURE-20120614

米国:アメリカ医師会(AMA)、遺伝子組み換え食品に特別な表示の必要なしと声明

 【記事要約】
 アメリカ医師会(AMA)は、GM食品が従来の食品と比較して成分に差異がなく健康的リスクを示す証拠はないことから、「GM食品に対する特別な表示を支持しない」という声明を出しました。また、AMAはGM食品の商品化に事前の安全性評価は必要であることを付け加えています。AMA理事会のPatrice Harris博士がLos Angels Timesにコメントを寄せています。 
(訳注:アメリカ医師会(AMA)は、米国の医師および医学生で構成され、医の倫理原則および関連する司法上の問題点について分析・調査・整理を行ない、ガイドラインを作成・提示する組織です)

 2012年6月21日 / Los Angeles Times
GMO foods don’t need special label, American Medical Assn. says
http://articles.latimes.com/2012/jun/21/news/la-heb-gmo-foods-medical-association-20120620

海外各国に見る、GM作物栽培の動向  第三回:アルゼンチン (上)

アルゼンチンは世界でも有数のGM作物栽培国のひとつです。アルゼンチンのGM作物生産量は米国・ブラジルに続いて15%を占めており、世界第3位を誇ります。1996年に除草剤耐性大豆の栽培を開始したことを皮切りに、現在では食料・飼料用に21種類のGM作物を栽培しています。 

◇2011年にアルゼンチン国内で栽培された主要なGM作物

  • 大豆:除草剤耐性:国内栽培の約100%がGM品種 (1) 
  • トウモロコシ:害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種:国内栽培の約85%がGM品種で、そのうち9割がスタック品種 (1) 
  • ワタ:害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種:国内栽培の約98%がGM品種で、そのうち8割以上がスタック品種 (1) 


<<筆者補足>> アルゼンチンでは、1996年以降のGM作物の急速な普及に伴い、国内の穀物生産が急増しました。大豆を例にとると、GM大豆の栽培が始まった1996年の大豆生産量1,225万トンに対して、2010年には約4.5倍の5,267万トンまで増加しています(1)。アルゼンチンの大豆生産が急拡大した理由には、除草剤耐性大豆の利用により不耕起栽培、少耕起栽培(雑草防除に、従来必要な播種前の耕起を省略した栽培方法。土中の栄養や水分の保全に貢献できる一方で、雑草防除が難しいという一面もある)が容易となり、その結果、一年の間に小麦‐大豆の二毛作ができる(従来は一年に一作)地域が拡大したことが挙げられます。アルゼンチンでは、除草剤耐性大豆の普及により、小麦‐大豆二毛作が可能な地域が増え、同国の大豆生産量を急増させる大きな要因となりました (2)。

(1)  ISAAA Briefs, pp.45-51 (2012)
(2) Trigo EJ. Fifteen Years of Genetically Modified Crops in Argentine Agriculture (2011) 

(次回は、ひきつづきアルゼンチンにおけるGM作物栽培によるベネフィットについて報告します。)