2011年10月25日火曜日

お知らせ

2011年8月31日、遺伝子組み換えパパイヤ(品種:レインボー)の表示に関する消費者庁の告示が行われ、同日付の官報に掲載されました。これにより、この遺伝子組み換えパパイヤは、年内にも安全性に関する認可が終了し、日本国内へ輸入できる様になると考えられます。遺伝子組み換えパパイヤレインボー品種は、ハワイの産地がウイルスによる大規模な被害に見舞われたことを受けて開発され、ハワイをパパイヤ産地としてよみがえらせた品種です。日本へ輸入されると、遺伝子組み換え作物のうち、主に生食用に供されるものとしては国内初の例となります(Food Watch Japan HPに、一部加筆修正)。

詳しくはこちら Food Watch Japan :遺伝子組み換えパパイヤ“輸入解禁”へ
http://www.foodwatch.jp/column/sienrls/rpt00018_110831.php

弊社セミナー 「モンサント・カンパニーの遺伝子組み換え機能性大豆~オメガ-3脂肪酸の健康効果とそれを産生するダイズの食品への利用~ 」(10月4日実施) のご報告

去る2011年10月4日(火)、弊社セミナー「モンサント・カンパニーの遺伝子組み換え機能性ダイズ ~オメガ-3脂肪酸の健康効果とそれを産生するダイズの食品への利用~」を、東京・八重洲にて開催いたしました。
当日は報道関係者、食品メーカー、流通業など幅広い分野から多数ご参加いただきました。セミナーでは、オメガ-3脂肪酸の心血管系疾患の予防効果などの健康ベネフィット、および遺伝子組み換え技術を用いて種子中にオメガ-3脂肪酸の一つであるステアリドン酸(SDA)を産生させたSDAダイズからとったSDAダイズ油の健康ベネフィット、市場性、嗜好性などについて、日本の専門家および来日したモンサント・カンパニーの担当者から紹介いたしました。
セミナー当日資料、講師略歴等については、以下のURLからご覧いただけます。
http://www.monsanto.co.jp/news/seminar/index.html

第6回:アフリカ、ブルキナファソにおける遺伝子組み換え害虫抵抗性ワタの利用と実績

このコーナーでは、モンサント・カンパニーが注力する “持続可能な農業(Sustainable Agriculture)”への取り組みを、弊社の年次報告書 (United in Growth:2010年11月2日発行)よりご紹介しています。今号では、アフリカの小国、ブルキナファソにおける遺伝子組み換え害虫抵抗性ワタの利用と、これによりもたらされたベネフィットをご紹介します。(United in Growth P.19)
http://www.monsanto.com/SiteCollectionDocuments/2010-csr-report.pdf

ブルキナファソは世界でも最も貧しい国のひとつで、200万の国民がワタ生産で生計を立てています。ワタの輸出は同国の輸出額の60%を占めていますが、害虫被害の頻発により、作物の90%が損害を受ける事もありました。遺伝子組み換え害虫抵抗性ワタが導入されるまで、作物を守る手段は農薬しかありませんでした。
2003年、ブルキナファソ農業大臣の要請によりモンサント・カンパニーはチームを結成し、同国において遺伝子組み換え作物に関する規制の枠組み、スチュワードシップ確立の助言を行い、ブルキナファソ国立農業環境研究所(INERA)は、同国に適した遺伝子組み換えワタ品種の選抜試験に必要な技術試験を設計しました。
2008年、4,500人のワタ生産者が6,800箇所で害虫抵抗性ワタ品種を栽培し、2009年には11万5000ヘクタールのワタ農地で害虫抵抗性ワタが商業栽培されました。国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によると、害虫抵抗性ワタ品種の導入により、2009年には従来と比較して30%近い収穫量の増加と、50%以上の殺虫剤削減が達成され、1億ドル(約7,700億円)の経済的なベネフィットが達成できたと推定されています。
モンサント・カンパニーでは、優良な種子がより広く利用される事によって、世界的に食料が増産され、発展途上国の農業生産者の生活が改善されると同時に、生活者へもメリットをもたらすと考えています。

<「持続可能な農業」に関連する、最近のその他のトピック>
FAO(国連食糧農業機関)が10月6日に発表したレポートでは、世界の2011/2012年の穀物生産は前年に比べて約3%増の約23億トン/年になるものの、穀物全体の在庫率は年間消費量に対して21%前後という低水準が続くと予想しています。またFAOの直近の推定では、作物の不作、紛争、自然災害、食料価格の高騰などが原因で、世界の32カ国において援助が必要としています。

FAO: 世界の穀物生産は増加するも、需給は依然として逼迫を予想
World cereal markets expected to stay tight amid rising production 
http://www.fao.org/news/story/en/item/92544/icode/

アルゼンチン:世界各地における保全耕起(不耕起、減耕起)栽培の成功例として

【記事要約】
アルゼンチンは、農作物の不耕起栽培(訳注:畑の土を耕起せずに種を播いて栽培する方法)に長い成功の歴史を有しています。これは特に1990年代半ば以降、ラウンドアップレディー(以下RR)品種のダイズ、トウモロコシが導入されてから、急速に広まりました。現在アルゼンチンの(訳注:RR品種のダイズ、トウモロコシ)栽培面積のほぼ100%で不耕起栽培、もしくは減耕起栽培が行われています。
1996~1997年には栽培面積がダイズ全体の1%に満たなかったRRダイズ品種ですが、現在ではアルゼンチンのダイズ総作付面積の99%で栽培されていると推定されています。
(訳注:RR品種の作物を用いた)不耕起栽培の普及により、アルゼンチンへもたらされて経済的利益は、農業生産者における生産コスト低減、植物育種/農業バイオテクノロジー業界からの国庫への納税増加、そして、なにより食品価格の低減による消費者メリットなど、これまでに合計で約340億ドル(2兆6,180億円)と推定されています。
加えて、雑草防除が容易になったことにより、植物の茎など残渣が農地表面に残されることで土中の水分、有機物の喪失が抑えられ、風による侵食(風食)も抑えることが出来るようになります。作物根の成長阻害の防止、表土の流亡防止と保護を通じて、土壌の成分も保持されています。

2011年8月18日/Farmers Weekly
The success of conservation tillage around the world
http://www.fwi.co.uk/Articles/2011/08/19/128474/The-success-of-conservation-tillage-around-the-world.htm

ベトナム:遺伝子組み換え作物の栽培を、早期開始へ

【記事要約】
ベトナムの農務省副大臣のBui Ba Bong氏は、遺伝子組み換え作物の大規模栽培が、早ければ来年にもベトナム国内で始まる可能性を、8月17日のセミナーで発表しました。
Vinh Phuc省北部で行われた栽培試験では、遺伝子組み換えトウモロコシの単位面積あたりの収量が従来のトウモロコシと比較して30~40%高く、作物品質も良く、害虫の個体数が非常に減少した事が発表されました。ベトナムの専門家達は、遺伝子組み換えトウモロコシの利用によりベトナムの農業生産者の収入を大きく向上させることができ、殺虫剤の購入のための支出を大きく減少させることができると指摘しています。
この試験は冬作の終了まで継続され、その後遺伝子組み換えトウモロコシの安全性、品質評価が行われます。ベトナム全域での栽培が認可されるまでに国内4箇所の、ベトナムの典型的な生態系を有する地域での試験が行われる予定です。
ベトナムは毎年、平均して約30億ドル(2,310億円)を海外からの穀物輸入に費やしています。またベトナム国内の家畜飼料の価格は隣国のタイ、中国と比べて10~15%高い状況となっています。
ベトナム国内の穀物需要は、2020年までに5,000万トン、2050年までに8,000万トンへ達すると見通しです。一方で国内の農地面積は縮小傾向にあり、単位面積あたりの収量も、従来の作物としては最大レベルにまで改善されています。ベトナムの専門家は「作物収量をさらに改善する突破口として、遺伝子組み換え作物は唯一の解決法」と述べています。

2011年8月22日 / Viet Nam News
GM crops set for early start
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/Agriculture/214601/GM-crops-set-for-early-start.html

中国:ダイズの耐塩性を強化させる遺伝子組み換え技術

【記事要約】
中国農業科学院の科学者Dong Cao博士達は、小麦由来の耐塩性遺伝子TaNHX2をアグロバクテリウム・リゾゲネスを用いた遺伝子導入法によって、ダイズの毛状根に導入し、TaNHX2遺伝子の過剰発現が耐塩性に与える影響を調査しました。
塩ストレスを与えた所、TaNHX2遺伝子を導入した植物が高い耐塩性を示したのに対し、比較対照の非遺伝子組み換え作物は塩ストレスの影響で白化し、15日以内に枯死しました。研究者達は同様にアグロバクテリウム・ツメファシエンスを用いた導入法でTaNHX2遺伝子をダイズに導入し、TaNHX2遺伝子がもたらす耐塩性の機能を調査しました。TaNHX2遺伝子を導入した植物は従来のものに比べて耐塩性が改善され、一株あたりの植物バイオマス量や花数が増加した上、生存期間の延長、成長阻害の減少などを示した個体が確認されました。
これによりTaNHX2遺伝子がダイズの耐塩性を改善する事、またアグロバクテリウム・リゾゲネスを用いた遺伝子導入法がダイズの遺伝子機能を改善する新手法になりうる事が示されました。

2011年8月19日/ISAAA
OVEREXPRESSION OF TANHX2 ENHANCES SALT TOLERANCE OF TRANSGENIC SOYBEAN
http://www.isaaa.org/kc/cropbiotechupdate/article/default.asp?ID=8310

5. 遺伝子組み換え作物の年表

弊社ホームページでは、知っているようで実はよく理解していない、「だけど、今さら人に聞くのも・・・」といった遺伝子組み換えの基礎知識をご案内しています。このコーナーでは、下記リンク先(弊社ホームページ内「資料室」)から、毎回トピックを紹介していきます。
○遺伝子組み換え作物基礎知識○
http://www.monsanto.co.jp/data/knowledge/index.html

5. 遺伝子組み換え作物の年表
「遺伝子組み換え作物の開発」と言うと、最近始まったことと思われる方もいるかもしれません。しかし、その歴史を見てみると学生時代に習った「メンデルの法則」の発見や、「DNA二重らせん構造の解明」まで遡ることができます。もちろん、それ以前にも人間は目的の性質を持つ作物を作るために違う性質を持ったものを交配したり、突然変異などによって誕生した品種との交配を行ってきましたが、偶然に頼ることが大きかった従来の品種改良から、遺伝子のメカニズムが解明されたことで、遺伝子の働きを直接品種改良に応用することが可能となりました。メンデルの法則の発見から始まる遺伝子組み換え作物の開発は、その後はどのような道筋をたどって、現在に至ったのでしょうか?下記のリンク先から遺伝子組み換え作物の開発から実用化までの歴史を、日本での動きとあわせてご覧いただけます。
http://www.monsanto.co.jp/data/chronology.html

食品の安全性や報道に関する、サイトのご紹介

今号では「特定非営利活動法人 国際生命科学研究機構(ILSI Japan)」をご紹介いたします。
ILSI は、科学的な視点で、健康・栄養・安全・環境に関わる問題の解決および正しい理解を目指すとともに、健康・栄養・安全・環境に関連する科学研究の実施・支援を行い、その成果を学術シンポジウムや出版物を通じて全世界に公表しています。
最近では特に「肥満」「食品バイオテクノロジー」「機能性食品」「食品安全・リスクアセスメント」の4つに注力して取り組み、ILSIは非政府機関(NGO)として世界保健機構(WHO)や国連食料農業機関(FAO)とも密接な関係にあり、FAOに対しては特別アドバイザーの立場にあります。
遺伝子組み換え技術に関する最近の発行物としては「遺伝子組換え食品を理解するⅡ」をWebに公開し、遺伝子組み換え技術について持たれがちな様々な誤解(食品安全性や、生物多様性への影響、抵抗性雑草等)に関し、科学的な見解を公表しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

特定非営利活動法人 国際生命科学研究機構(ILSI Japan)
http://www.ilsijapan.org/index.html

遺伝子組換え食品を理解するⅡ
http://www.ilsijapan.org/Bio2010/rikaisuru2-2.pdf