2012年4月6日金曜日

日本モンサントからのインフォメーション

◆有機栽培生産者がモンサント・カンパニーに対し起した訴訟を連邦裁判所が棄却 
- 遺伝子組み換え種子の非意図的な混入による特許権侵害訴訟に関して-
(米国モンサント・カンパニープレスリリース抜粋)

2012年2月27日、米国連邦裁判所ニューヨーク南部地裁において、米国で有機栽培向けの
種子生産/販売を行っている団体、Growers and Trade Association (OSGATA)ら原告と、
米国モンサント・カンパニーが争っていた訴訟に関して判決が出ました。

判決文では「モンサント・カンパニーはこれまでも、また今後も、意図せぬことが起きた
結果として農業生産者の農地にわずかに、モンサント・カンパニーが特許を有する種子や
作物が見つかった場合もそれに対して特許権は行使しない」というモンサント・カンパ
ニーが長年主張し続けてきた誓約に言及し、原告(OSGATA)の主張は却下されました。
裁判所は、モンサント・カンパニーが原告側のいずれの農業生産者に対しても訴訟を起こ
したり、起こす意図を見せておらず「訴訟や紛争」の事実は存在しない、との見解を示し
ています。

モンサント・カンパニーはこの裁判所の判決に関して、遺伝子組み換え作物栽培、有機栽
培、従来作物など様々な農作物の栽培方法が市場で共存し続ける事を改めて示した判決と
考えています。モンサント・カンパニーは、全ての農業生産者が、自ら生産方法を選択す
る自由を与えられるべきでと考えています。

モンサント・カンパニーからのプレスリリース全文は以下からご覧いただけます(英文)
http://monsanto.mediaroom.com/index.php?s=43&item=1023

米国連邦裁判所ニューヨーク南部地裁の判決文は、以下からご確認いただけます(英文)
http://www.nysd.uscourts.gov/cases/show.php?db=special&id=156http://www.nysd.uscourts.gov/cases.php

弊社 セミナー 「遺伝子組み換え作物をめぐるアジアの最新情報 」(2月29日実施)の ご報告

去る2012年2月29日、弊社セミナー「遺伝子組み換え作物をめぐるアジアの最新情報」を、
東京・八重洲にて開催いたしました。当日は、行政関係者、報道関係者、食品業界など幅
広い分野から多数ご参加いただきました。

セミナーではモンサント・カンパニー(本社・米国ミズーリ州)のシンガポール支社アジ
ア担当者より、いまや遺伝子組み換え作物の栽培大国となったインド、オーストラリア、
中国をはじめ、フィリピン、インドネシア、ベトナムなど、東南アジアの途上国での栽培
や、栽培に向けた動きを紹介させて頂きました。セミナー当日資料、講師略歴等について
は、以下のURLからご覧いただけます。

今後世界で最も人口増加が見込まれるアジアでは、食料確保ための政策/取り組みが重要
性を増しており、その中で遺伝子組み換え作物の利用(栽培)を開始/拡大する政策がア
ジア各国で検討されています。

現在は“飽食の世”といわれる日本でも、すでに約1,700万トンの遺伝子組み換え穀物が
輸入され、食卓を支えています。日本の食料確保のために遺伝子組み換え技術とどう向き
合っていくのか、現実的視点からの議論が必要となってきていると考えられます。

http://www.monsanto.co.jp/news/seminar/index.html

中国:中国によるトウモロコシの買付けが増加するとの見通し

【記事要約】
アメリカ農務省(USDA)は、2011/2012栽培年度における中国のトウモロコシ輸入量は、
前年度の100万トンから増加して400万トンとなる見通しを発表しました。

2012年3月13日/The Wall Street Journal
China Believed to Make Large Purchase of Corn
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304450004577279703149676534.html

<<訳者註>>
中国は国内での飼料需要、澱粉、アルコール等の工業需要の伸びの高まりから、2010年以降トウモロコシの純輸入国となり、今後のこの増加傾向が続くと考えられています。
<参考情報>
農林中金レポート:純輸入に転じた中国のトウモロコシと世界市場への影響
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri1109re2.pdf
ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版:中国当局、今後数年間でトウモロコシ不足深刻に
http://jp.wsj.com/World/China/node_413562

米国:トウモロコシの単収増加速度が減少

【記事要約】
農業組織向け金融機関である、ラボ・バンク・インターナショナルの調査部門(FAR)が
発行したレポート“Can Corn Keep Up?” 「トウモロコシは(需要増加に)追いつける
か?」では、トウモロコシ単収増加速度が従来に比べ大きく減速する可能性が高く、2012
年の増加率はアメリカ農務省の試算を下回ると予測しています(訳者註:アメリカ農務省
は2011年1月のレポートで、2020年までトウモロコシ単収は平均で年間1.2%(2ブッシェル
/エーカー)ずつ増加し、2011、2012年の単収をそれぞれ162、164ブッシェル/エーカー、
2020年には180ブッシェル/エーカーになると見通していますが(1)、2010、2011年の単収
実績はそれぞれ152.8 ブッシェル/エーカー 147.2 ブッシェル/エーカーに留まってい
ます(2))。

同レポートでは、米国で生産性の低い農地で作付面積を増やしたり、輪作回数を減少させ
るといった対処だけでは、歴史的低水準にある現在の世界の穀物在庫を緩和するのに十分
な増加はないと予測しています。そして、現状の米国産トウモロコシの生産量増加では、
今後増加する世界のトウモロコシ需要増の50%程度しか満たせないとしています。

2012年3月14日/Farm Industry News
Report Finds Corn Yield Growth Slowing
http://farmindustrynews.com/corn-hybrids/report-finds-corn-yield-growth-slowing


<参考情報>>
(1) USDA Agricultural Projections to 2020 (Outlook Report No. (OCE-111) 106 pp,
February 2011 )
http://www.ers.usda.gov/Publications/OCE111/OCE111d.pdf

(2) USDA-NASS Crop Production
http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1047
http://www.nass.usda.gov/Charts_and_Maps/Field_Crops/cornyld.asp

EU:消費者のGMO反対の結果として生ずる農業生産者の損失

【記事要約】
フランスのトウモロコシ生産者団体AGPMは、2007年にフランス国内の22,000ヘクタールで
栽培され、翌年にモラトリアムにより同国内で栽培禁止となった、害虫抵抗性の遺伝子組
み換えトウモロコシMON810を利用した際のデータを公表しました。

これによると、遺伝子組み換えトウモロコシ品種は平均で0.5トン/1ヘクタールの害虫に
よる収量減を防ぎ、結果100ユーロ(約110円)/ヘクタールの収益差をもたらしました。
これは遺伝子組み換えトウモロコシ種子の価格が、従来品種に比べて35~40ユーロ/ヘク
タール高い事を考慮に入れた数字です。

トウモロコシ生産者団体AGPMの副会長であるPoeydomenge氏は「私たちフランスの農業生
産者も、世界の農産物市場の中にいる以上は、遺伝子組み換え作物の利用が認められなけ
ればいけない。今後フランスの農業生産者が競争力を失う事になれば、私たちは世界の農
産物市場から消えてしまう」と主張しています

2012年2月17日/Reuters
EU farmers lose out as consumers oppose GMOs
http://in.reuters.com/article/2012/02/17/gmo-europe-idINDEE81G07W20120217

国毎に見る、海外でのGM作物栽培の動向 第一回:ブラジル (上)

ISAAA(国際アグリバイオ事業団)の発表によると、2011年のGM作物栽培面積は世界全体
で1億6,000万ヘクタール、そのうち約50%が途上国における栽培です。また2012年には途
上国での栽培面積が、先進国のそれを上回ると予測されています。本コーナーでは、ISAA
A年次報告書(Global Status of Commercialized Biotech/GM crop: 2011)や国連食糧機
関(FAO)、アメリカ農務省(USDA)の統計データを中心として、GM作物を栽培する各途
上国の状況、GM作物栽培国と世界/日本との繋がりや、GM作物栽培国で達成されたメリッ
トをご紹介します。

第一回:ブラジル (上)
◇2011年にブラジル国内で栽培されたGM作物
  • 大豆:除草剤耐性大豆:国内栽培の83%がGM 品種 (1)
  • トウモロコシ:害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種
    夏作トウモロコシの54%、冬作トウモロコシの80%がGM品種 (1)
  • ワタ:害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種:国内栽培の39%がGM品種 (1)


◇世界/日本の食卓とブラジル農業との繋がり(大豆)

  • 世界の大豆生産量の26%(6,851万トン)がブラジル産(2009年、世界第2位)(2)
  • 世界の大豆輸出量の35%(2,856万トン)がブラジル産(2010年、世界第2位)(3)
  • 日本が輸入している大豆の18.8 %(53万トン)がブラジル産(2011年、2位)(4)


(1) Global Status of Commercialized Biotech/GM crop: 2011. P.27-44
(2) FAO-Stat: http://faostat.fao.org/site/339/default.aspx
(3) FAO-Stat: http://faostat.fao.org/site/342/default.aspx
(4) 財務省貿易統計:
http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=13&P=1,2,,,,,,,,4,1,2011,0,0,0,2,20307,,,,,,,,,,1,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,20

<<筆者補足>>
ブラジル産大豆は世界の大豆輸出(流通量)の35%を占め、世界や日本の食料安全保障に
欠かせない存在となっています。またブラジルの大豆生産の83%にはGM品種が利用されて
います。GM技術はブラジルの大豆生産、世界の大豆需給にとって欠かせない存在といえま
す(次回は引き続きブラジルにおけるメリットについて報告いたします)。