2013年4月23日火曜日

英国:GM作物、1996から2011年における世界の社会経済および環境に対する影響

【記事要約】
英国PGエコノミクス社(PG Economics)の経済学者Graham Brookes氏とPeter Barfoot氏は、GM作物が過去16年間(1996~2011年)に経済・環境に及ぼした影響を累積的に定量化した最新の研究を発表しました。研究によると、世界のGM作物の導入により1996年から2011年の間に農薬の使用量が47万3,000トン、CO2排出量は188万6,000トン削減されました。188万6,000トンのCO2とは、83万8,000台の自動車が1年間に排出するCO2の量に相当します。またGM作物の利用により収量が増加し生産コストが低下する事で、16年の間で982億ドル(約9兆5,200億円 1ドル98円換算)のベネフィットが農業生産者へもたらされました。

<この研究結果のサマリーについては、後日、弊社のホームページに日本語訳を掲載予定ですので、掲載後に再度ご案内します>
2013年4月22日 PG Economics Limited
http://www.pgeconomics.co.uk/page/35/

乾燥耐性をもつGenuity ®Drought Guard™ハイブリッド、2013年に米国市場へ展開

モンサントは、3月22日の「世界水の日」にちなんで、2013年に乾燥耐性を持つGenuity DroughtGuard ハイブリッド トウモロコシを米国市場に展開すると発表しました。DEKALB®の乾燥耐性トウモロコシは1970年から販売されていますが、Genuity Drought Guard ハイブリッドは交配育種と農業技術、遺伝子組み換え技術の組み合わせにより、乾燥状況下でも安定収量を期待できます。この商品は、平均1エーカーあたり70~130ブッシェル(約1.8~約3.3トン)の収量しか見込めない西部グレートプレーンズの生産者にメリットを提供することを目標にしています。なお、ここ数年の米国におけるトウモロコシの平均収量は、1エーカーあたり約150ブッシェル(約3.8トン)です。今シーズンは、西グレートプレーンズを対象に初の展開を行う予定です。
2013年3月20日 Genuity Drought Gard Hybrids Launching in the U.S. in 2013
http://www.monsanto.com/products/Pages/droughtgard-hybrids.aspx?WT.mc_id=1_droughtgard(英語)

モンサント・カンパニーがCorporate Citizens Best100に選ばれました

今年で13年目となるCorporate Responsibility (CR) MagazineのCorporate Citizensのベスト100にモンサント・カンパニーが選ばれました。この評価はコンサルティング会社であるIW Financial groupが7つの要素、環境、気候変化、人権、慈善活動、雇用関係、財務、統制において透明性と業績をもとに、ラッセル1000指数(米国における株式時価総額の約92%に相当する)に含まれる企業を対象として査定をおこないました。評価にあたったIW Financial groupは、この調査により企業活動の開示と透明性の向上が促進され、企業と投資家が各指標の重要性を認識しつつあると述べています。
2013年3月9日CR Magazine
http://www.thecro.com/(英語)

米国:全米大豆基金財団、高オレイン酸大豆の開発に資金を投入

【記事要約】
2006年米国トランス脂肪酸の表示義務化に伴い、大豆油産業は他の食用油にシェアを奪われ始めました。そこで全米大豆基金財団は、2020年を目処に高オレイン酸大豆の種子を大豆栽培面積の80%の地域で利用できるようにすることで、シェアを奪回する目標を掲げました。2013年には、高オレイン酸大豆を開発しているデュポン社とモンサント社に対し開発費および市場開拓費用として、合計800万ドル(約7億8400万円)を投入するとしています。高オレイン酸大豆の油は高温状態での安定性が高く、自動車産業や潤滑油産業にも適しているとされています。また、モンサント社の高オレイン酸大豆Vistive ®Gold(ビスティブ ゴールド)は、トランス脂肪酸ゼロ、従来の大豆油と比べて60%以下の飽和脂肪酸を含むといった特性があり、2014年に米国からの輸出が可能になる世界各地の認可を目指しています。
2013年3月12日 Farm Industry News
http://farmindustrynews.com/business/united-soybean-board-infuses-millions-development-high-oleic-soybeans

イタリア:イタリア人の55%がGMの研究を支持し、52%がGM食品を喜んで買う

【記事要約】
ミラノを拠点とする研究所 Institute for Studies on Public Opinion(ISPO)の調査によると、回答者の55%が、自国でGM(遺伝子組み換え)の研究を継続することは有用であるとし、回答者の52%が、将来GM食品を喜んで買うとの結果が得られました。また、好意的な回答の理由として、GM食品のもつ健康上の利点(48%)、続いて、良好な環境が持続できること(37%)、低価格(27%)が続き、その一方で回答者の4分の1が、いかなる条件の下でもGM食品を購入しないとしています。また、回答者の多く(52%)は、GM製品の販売が合法であれば、GM作物の栽培も合法であるとしています。さらに、回答者の56%は、イタリアの農業者がGM作物の栽培を禁止されているのに、他国の農業者がGM作物を栽培し、イタリアで販売することを許可されている状況に不公平感を抱いているとしています。
2012年11月28日 Futuragra
http://www.futuragra.it/index.php?option=com_content&task=view&id=247&Itemid=115 (英語)

米国:ヨーロッパのために育種され、アメリカで育つGMテンサイ

【記事要約】
 欧州委員会共同研究センター( JRC; Joint Research Center )のKoen Dillen氏らは、除草剤耐性テンサイが経済や環境に与える影響の調査を米国にて行いました。調査の結果、ここ2年間で米国における除草剤耐性テンサイが占める栽培面積の割合は、テンサイ栽培面積全体 ( 約49万ヘクタール ) の95%まで到達し、除草剤の使用が40%減少、1ヘクタールで257ドル ( 約25,000円 ) 収益が増加していたことが分かりました。また、著者らはこれらの利点を勘案し、もともと欧州生まれのテンサイが欧州に逆輸入されると予測しています。

2012月12月1日 New Biotechnology vol.30 Issue 2 P131-135 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1871678412008618 (英語)

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物の栽培の動向(第9回 ボリビア)

南アメリカ大陸に位置するボリビアは小さな国ですが、大豆生産においては世界8位の国です。遺伝子組み換え大豆においては、RR®(ラウンドアップ・レディ)大豆が、2011年に910,000ヘクタール栽培されており、これは大豆の栽培総面積に対して92%に相当します。また、2008~2011年でRR大豆の栽培面積の成長率は約50%と、急速な拡大を示しています。政府からの奨励もない中、この様な拡大が見られたのは、RR大豆が従来の大豆よりも高収益が得られるからと考えられています。以下に費用と収益の比較表を示します。
また、あまり知られていませんが、ボリビアでの種子産業は組織化が進んでいるため、認証済みの種の使用が多く、2008年には認証済みの種が75%まで流通しています。従来どおり小規模農業者は大豆の種を自家採種していますが、近年GM種の利点から小規模農業者の間でも、認証済みの種が受け入れられる傾向にあります。
【RR大豆と従来大豆の費用と収益の比較(ヘクタール当り)】
項目 その他の大豆 RR大豆
収量(t/ha)
1.47 1.91
価格($/t)
409.32 398.59
収入($/ha)
600.26 780.83
経費($/ha)
 種
23.46 26.78
 農薬
41.53 32.25
 散布作業人件費
4.98 5.03
 その他の人件費
3.5 2.25
 その他の変動費
114.29 114.11
純利益
412.5 600.41
純利益差額
187.91(約18,415円)

 参考文献:
  1. ISAAA Briefs, No.44 p.138-140 (2012)
  2. AgBioForumI, A Case of Resistance: Herbicide-tolerant Soybeans in Bolivia, Paz et al