2012年6月21日木曜日

海外各国に見る、GM作物栽培の動向  第二回:ブラジル (下)

ブラジルは米国に続き世界第2位のGM作物栽培国です(1)。同国では、ブラジル種子生産者協会会長がGM作物の利用に関し「近く100億人を突破する世界の人口を養う必要性を考えると、ブラジルが世界の穀物庫の地位を高めることが欠かせない。新たな農地を切り拓くことなく生産を増やすには、農業バイオテクノロジーへの投資が最も理にかなった進路」と述べるなど、官民共にGM作物の利用や、研究開発が進んでいます(2)。 ブラジルの公的研究機関である、農牧研究公社(EMBRAPA)は、コメと並びブラジルの主食であるインゲンマメににおいて、GM技術によってウィルス病耐性を持たせた品種(BGMV耐性インゲンマメ)を独自開発し、国内での商業生産認可を去年9月に取得しました(1)(2)。このBGMV耐性インゲンマメは発展途上国の公共研究機関が単独開発した世界初の作物で、種子増殖が進み次第、数年以内に商業栽培が開始される見通しです(1)。 このBGMV耐性インゲンマメは、国が研究開発を主導/実用化、商品化した、初めての主食作物となるかもしれません。 

(1)ISAAA Briefs 43 (2012)
(2)ブラジル種子生産者協会(ABRASEM)プレスリリース 利益多い遺伝子組み換え作物 ブラジル業界団体が調査
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201204133756/
(3)EMBRAPA http://www.cenargen.embrapa.br/_comunicacao/2011/cenargenda/cenargenda62_en_2011.html