2012年8月3日金曜日

海外各国に見る、GM作物栽培の動向  第三回:アルゼンチン (上)

アルゼンチンは世界でも有数のGM作物栽培国のひとつです。アルゼンチンのGM作物生産量は米国・ブラジルに続いて15%を占めており、世界第3位を誇ります。1996年に除草剤耐性大豆の栽培を開始したことを皮切りに、現在では食料・飼料用に21種類のGM作物を栽培しています。 

◇2011年にアルゼンチン国内で栽培された主要なGM作物

  • 大豆:除草剤耐性:国内栽培の約100%がGM品種 (1) 
  • トウモロコシ:害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種:国内栽培の約85%がGM品種で、そのうち9割がスタック品種 (1) 
  • ワタ:害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種:国内栽培の約98%がGM品種で、そのうち8割以上がスタック品種 (1) 


<<筆者補足>> アルゼンチンでは、1996年以降のGM作物の急速な普及に伴い、国内の穀物生産が急増しました。大豆を例にとると、GM大豆の栽培が始まった1996年の大豆生産量1,225万トンに対して、2010年には約4.5倍の5,267万トンまで増加しています(1)。アルゼンチンの大豆生産が急拡大した理由には、除草剤耐性大豆の利用により不耕起栽培、少耕起栽培(雑草防除に、従来必要な播種前の耕起を省略した栽培方法。土中の栄養や水分の保全に貢献できる一方で、雑草防除が難しいという一面もある)が容易となり、その結果、一年の間に小麦‐大豆の二毛作ができる(従来は一年に一作)地域が拡大したことが挙げられます。アルゼンチンでは、除草剤耐性大豆の普及により、小麦‐大豆二毛作が可能な地域が増え、同国の大豆生産量を急増させる大きな要因となりました (2)。

(1)  ISAAA Briefs, pp.45-51 (2012)
(2) Trigo EJ. Fifteen Years of Genetically Modified Crops in Argentine Agriculture (2011) 

(次回は、ひきつづきアルゼンチンにおけるGM作物栽培によるベネフィットについて報告します。)