2013年1月17日木曜日

海外各国に見る、遺伝子組み換え作物栽培の動向  第7回:カナダ

カナダでは1996年から遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まり、現在は1,040万ヘクタール(2011年)と、世界で5番目の規模で栽培されています。今回はカナダにおける遺伝子組み換え作物の利用状況をご紹介します。

◇ 2011年にカナダ国内で栽培された遺伝子組み換え作物

  •  ナタネ(除草剤耐性):カナダのナタネの栽培面積の約96%が遺伝子組み換え品種(1)
  • 大豆(除草剤耐性):カナダの大豆の栽培面積(主産地のオンタリオ、ケベック州の合計)の約81%が遺伝子組み換え品種(1) 
  • トウモロコシ(害虫抵抗性、除草剤耐性、スタック品種):カナダのトウモロコシの栽培面積(主のオンタリオ、ケベック州の合計)の約93%が遺伝子組み換え品種(1)
  • テンサイ(除草剤耐性):カナダのテンサイの栽培面積の96%が遺伝子組み換え品種(1) 


<日本の食生活とカナダの農業との繫がり>

食用カノーラ油の原料となるナタネの国内生産量は、わずか年間1,950トンです(2)。一方で海外からは年間232万トンのナタネを輸入していますので、日本のナタネ自給率は推定で0.08%と、需要のほぼ全量(99.9%以上)を海外に依存している状況です(2)。輸入ナタネの中でもカナダ産が226万トンと輸入97%を占めていますので(2)、日本で流通、利用されるカノーラ油の約97%が、カナダ産のナタネ由来であると推定され、その96%(ナタネ需要量の93%)が遺伝子組み換えナタネと推定されます。
揚げ物、焼き物など、私たちは日々の食事にカノーラ油をよく使いますので、ナタネの供給が滞れば、私たちの食事に支障が出ることが予想され、遺伝子組み換えナタネが日本の豊かな食卓に欠かせない存在となっていると言えます。

(1)ISAAA Briefs, No.43 p.87-92 (2012)
(2)農林水産省「平成23年産なたねの作付面積及び収穫量(子実用)」
(3)財務省貿易統計(2011全期)