2012年1月20日金曜日

アルゼンチン:ArgenBio研究報告書「遺伝子組み換え作物を利用したアルゼンチン農業の15年 」概要

アルゼンチンの民間組織ArgenBioのEduardo J. Trigo 氏は、アルゼンチン国内で15年間遺伝子組み換え作物を商業利用した事による、同国の農業生産者、経済、雇用などへの影響や、今後の新しい遺伝子組み換え作物の利用によるメリットを算出した報告書を発表しました。同報告書の主な内容は以下の通りです(詳しい内容は、後日弊社HPに掲載いたします)


【記事要約】
・1996年に遺伝子組み換え作物がアルゼンチンに導入されました。現在、アルゼンチン国内で栽培されるダイズの100%、トウモロコシの86%、ワタの99%が遺伝子組み換え品種です。

・遺伝子組み換え作物の栽培による同国内での経済的ベネフィットの累計(1996-2010年)は723億ドル(約5兆5,600億円)であったと推定されます。

-このうち、除草剤耐性ダイズがもたらしたベネフィットは651億ドル(約5兆円)で、72.3%が農業生産者、21.3%が国家財政(輸出関税、税金等)6.5%が技術(種子、除草剤)の提供者へ還元されたと推定されます。

-遺伝子組み換えトウモロコシ(害虫抵抗性、除草剤耐性、それらの掛け合わせ品種合計)がもたらしたベネフィットは53億ドル(4,081億円)で、68.2%が農業生産者、11.4%が国家財政、20.4%が技術提供者へ還元されたと推定されます。

-遺伝子組み換えワタ(害虫抵抗性、除草剤耐性、それらの掛け合わせ品種合計)がもたらしたベネフィットは18億ドル(1,386億円)で、96%が農業生産者、4%が技術提供者へ還元されたと推定されます。

・アルゼンチンが遺伝子組み換えダイズを導入していなかったと仮定すると、2011年時点の大豆国際価格は、14%高いものになっていたと推定されます。

・遺伝子組み換え技術の利用によって、同国内で182万人の雇用が創出されたと推定されます。

・不耕起栽培の実施によって、土壌成分の保全、エネルギー効率改善が実現し、環境メリットが実現されました。

・除草剤耐性、害虫抵抗性のを併せ持つ(掛け合わせ)ダイズ品種が利用可能になった場合、今後10年間にもたらされるメリットは推定で91億~260億ドル(7,007億~2兆円)と推定されます。

・乾燥耐性のコムギが利用可能になった場合、今後10年間にもたらされるメリットは推定で5~19億ドル(385~1,463億円)と推定されます。

2011年11月/Argen Bio
ArgenBio プレスリリース(英文)
http://www.argenbio.org/adc/uploads/15_years_Press_release_of_GM_crops_in_Argentina.pdf
フルレポート(英文)
http://www.argenbio.org/adc/uploads/15_years_Executive_summary_of_GM_crops_in_Argentina.pdf